「生産清流化」は、製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に対応できるスピードを獲得します。業務を変えるアプローチは「つなぐ化」です。納期遅れの症状を見極めてポイントとなる業務と前後の業務のつながりを1点集中で改善していきます。
■仕掛在庫削減5段活用
工期が長いことによる納期遅れを改善しようとすると、在庫停滞の短縮が重点となります。仕掛在庫は様々な要因で形成されています。また様々な種類が混在しているため、それらをまず仕分けして「どの在庫を対象とするのか」「どの程度削減されたか」を見た目にわかるようにします。
■ステップ1 停滞場所を明示
最初のステップでは、仕掛在庫の置き場所を作業区ごとに標準化します。さらに停滞場所を「荷積停滞」「出荷停滞」「中間停滞」「入荷停滞」「荷卸停滞」「空荷停滞」に分類します。ます。
・荷積停滞:前工程で完成品を台車などの運搬器具に満載するまでの間、停滞しているもの
・出荷停滞:満載された運搬器具が後工程へ向けて発送されるまでの間、停滞しているもの
・中間停滞:運搬器具が後工程へ入る前の中間場所で停滞しているもの
・入荷停滞:後工程で運搬器具に積まれたまま停滞しているもの
・荷卸停滞:後工程で運搬器具から降ろされる間、停滞しているもの
・空荷停滞:空荷の運搬器具が停滞しているもの
停滞場所の分類
■ステップ2 定置化徹底と中間停滞の排除
仕掛在庫の置き場所を決めたら、次のルールを徹底します。
・区画線の中に置く
・前工程の人が後工程へ持っていく
さらに中間停滞は単なる惰性で置かれている場合が多いので、次のルールを徹底します。
・中間停滞をおかず出荷停滞から入荷停滞へ直行する
中間停滞の排除
■ステップ3 出荷停滞の削減
この段階では、出荷停滞の削減を目指します。停滞スペースを半減し、顕在化した問題に対策しながら減らします。一般的に次のような対策が必要となります。
・検査待ちの解消→検査時間短縮、見込み発車
・不良品・長期滞留品の解消→不良を削減し、発生したら即時廃棄
・運搬待ちの解消→運搬の多頻度化
出荷停滞の削減
■ステップ4 入荷停滞の削減
この段階では、入荷停滞の削減を目指します。停滞スペースを半減し、顕在化した問題に対策しながら減らします。一般的に次のような対策が必要となります。
・トラブル対応の解消→トラブル低減
・勤務差の解消→勤務制の変更
・荷ぞろえ待ちの解消→複数の前工程の同期
・ロット差解消→同一ロットで流す
・能力差の解消→後工程の時間・稼働率を上げる/前工程の供給をセーブする
入荷停滞の削減
■ステップ5 工程の直結化
この段階では出荷停滞・入荷停滞と荷積停滞・荷卸停滞の排除を目指します。レイアウトを変え、以下のような対策を実施して1個流しに近づけます。
・出荷停滞と入荷停滞の排除→工程を直結し、運搬器具1台単位で搬送
・荷積停滞と荷降停滞の排除→1個単位で搬送する
工程の直結化
■書類停滞の要因
情報の流れを改善するには、書類の「停滞」に着目し、それを減らすことがポイントです。
書類の停滞要因と対策は、次のように大別できます。
・作成途中の停滞削減→書式の簡素化、記入項目の見直し
・書き直し中の停滞削減→書式の変更、記入方法の教育
・運搬待ちの停滞削減→書類運搬の多頻度化
・確認待ちの停滞短縮→書式の変更、確認の多頻度化
■書式を見直す
書類停滞の対策のポイントは書式を変更することです。簡素化することで記入時間を短縮し、ミスを減らします。書式を変更するときのチェックリストを以下に示します。
書式変更のチェックリスト
分類 | 観点 | 判定 |
全体 | ・書式の名称はわかりやすいか | |
・書式のバージョンがわかるか | |
・誰に提出するか、次に何をするかがわかるか | |
・ページ数を減らせないか | |
・複数件を1枚にまとめられないか | |
・1件を1枚にできないか | |
項目 | ・なくてすむ項目はないか | |
・不足している項目はないか | |
・分離できる項目はないか(「備考」によく書かれる内容はないか) | |
・項目が作業の順序に沿って並んでいるか | |
記入欄 | ・記入例をつけられないか | |
・記号や選択式に記入できないか | |
・記入欄の大きさは適切か | |
・見出しと記入欄は明確か | |
・空欄不可の項目は明確か | |
■作成・運搬・確認を多頻度化する
書類停滞対策のもうひとつのポイントは多頻度化です。作成・運搬・確認を多頻度化することで処理されないで待っている書類を減らします。また多頻度化することで作成や確認に慣れて処理時間もスピードアップされます。
多頻度化のチェックリストを以下に示します。
書類の作成・運搬・確認のチェックリスト
分類 | 観点 | 判定 |
作成 | ・月報、週報を日報に変えられないかか | |
・1日1回の作成を午前午後や時間ごとにできないか | |
・関連作業の都度に書類を作成できないか | |
・パソコンやスマートフォンに直接入力できないか | |
運搬 | ・クリアホルダーを利用して発行時間や行き先を色分けできないか | |
・1日1回の運搬を午前午後や時間ごとにできないか | |
・作成都度運べないか | |
・作成しながら運べないか(クリップボードや携帯端末利用) | |
・パソコンやスマートフォンですぐ送信できないか | |
確認 | ・1日1回の確認を午前午後や時間ごとにできないか | |
・書類の到着を表示や音でお知らせできないか | |
・確認結果の連絡も多頻度化できないか | |
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