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製造企業のデリバリー管理とSCM
第1章 デリバリー管理
1.2 デリバリー管理とは
 (2)米国製造業復活の原動力となったデリバリー関連手法

 デリバリー管理の高度化に関して、米国製造業は一歩進んでいます。それが米国製造業を復活に導いた原動力となっています。その状況を見てみましょう。

 米国製造業で使われている新しいビジネス革新手法の大部分は、「材料入手からお客様への商品提供に至るまでのモノ・カネ・情報のフローのタイミングと、それを決定する社内の活動を望ましい姿にする」というデリバリー管理の範疇にあります。こうした手法は以下の3つに大別できます。
  ・モノの流れに重点を置くもの
  ・情報の流れに重点を置くもの
  ・意思決定の流れに重点を置くもの

 まずモノの流れに重点を置く手法です。
○「リーン生産」
 モノの流れに重点を置く手法の代表がリーン生産です。これは日本製造業の研究から生まれました。研究対象の代表がトヨタ生産方式(JIT)でした。米国では日本製造業を各方面から研究する契機となっています。トヨタ生産方式は欧米でリーン生産方式と呼ばれました。そしてその導入から展開までが体系化され米国企業に取り入れられたのです。今、「カイゼン」や「カンバン」は国際語となっています。

○ロジスティクス
 リーン生産を製造職場から流通の領域に拡張していったのが、ロジスティクスです。以前は物流と呼ばれ、流通過程の物的側面でしかなかったものを、リーン生産の考え方や戦略思考を取り入れて戦略的な流通システムを構築しようとしたのが、ロジスティクスだと言えましょう。つまり市場と生産の間の地理的隔たりと時間的隔たりを埋めるために、単にモノを運搬・保管していたのが物流でした。それに対しロジスティクスは市場の売れかたに合わせて生産、仕入の同期化を図るマネジメントです。

 次に情報の流れに重点を置く手法です。
○ERP
 情報技術を使ったデリバリー関連手法の代表が、ERP(Enterprise Resource Planning:経営資源計画)です。パッケージソフトウエアを導入することにより、生産・販売・物流・会計の情報をリアルタイムに統合し、業務構造の革新を図るものです。ベースになっているのが、資材所要量計画として出発したMRP(Material Requirement Planning)です。これが生産資源全体への計画であるMRP2(Manufacturing Resource Planning:生産資源計画)や流通分野のDRP(Distribution Requirement Planning:流通所要量計画)へ発展し、さらに会計分野を取り込んでERPへと展開しました。

○APS
 APS(Advanced Planning and Scheduling)は生産計画立案ソフトウエアの一種です。生産計画立案業務をコンピュータで支援しようという試みは古くからありました。しかしながら実用段階になったのは、マイクロプロセッサーの能力が上がった1980年代後半からです。能力向上により画面表示のグラフィック化、シミュレーションの短時間化が実現し、実用化が進みました。現在では最新の情報技術を取り込んで多数の工程の計画を一元的に立案できるようになり、そのソフトウエアがAPSと呼ばれています。

○EDIとCRP・VMI
 EDI(Electronic Data Interchange)は、企業間の受注・発注の情報をコンピュータ間の通信によって受け渡しするものです。それによって受注・発注の作業工数の大幅な削減と、作業期間の短縮が実現されます。現在はコンピュータ間通信の手段としてインターネットの利用が始まっています。

 EDIをさらに発展させたものが、CRP(Continuous Replenishment Program:連続補充システム)です。これは、 EDIをさらに発展させたものです。川上の取引先が川下の企業の物流センターや倉庫などの在庫管理を代行します。VMI(Vender Management Inventory:ベンダー主導型在庫管理)と呼ばれるものも基本的な考え方は同じです。

 たとえば小売業者と卸売業者の間で実施した場合、小売流通センターの出荷情報や在庫情報を卸売業者が把握し、流通センターへの補充量を卸売業者自身が決めます。川下企業は品切れ・過剰在庫の防止、発注コストの削減といったメリットが得られます。川上企業にとっては市場情報の把握、品切れ・過剰生産・過剰在庫の防止というメリットがあります。

 最後が意思決定の流れに重点を置く手法です。全社の意思決定のフローや意思決定の結果決まる資金のフローが主題です。
○BPR
 この分野の代表には、まずBPR(Business Process Reengineering)を挙げることができます。これは業務プロセスの構造を作り替えることで、顧客サービスや業務のスピードを向上させようとするものです。

 BPRもリーン生産と同様に日本企業の研究から発展しました。日本企業が新製品の発売を短期間にできる要因は、製品開発と生産準備をコンカレントに行うことにあります。そのやり方を体系化したのがBPRです。したがってBPRの主な対象は製品開発と生産準備です。しかしながらこの手法は業務プロセスをどうやって作り替えるかに主眼があります。何を目指して、どんな形にするかということに関する側面は、あまり重視されていませんでした。本稿の主題となっているビジネスモデルはBPRの短所を補強して発展したとも考えられます。

○TOC
 TOC(Theory Of Constraints:制約条件の理論) とは、イスラエル人の物理学者であるエリー・ゴールドラット博士が二十年にわたって開拓してきた製造企業の経営管理手法です。

 TOCでは以下の三つの要素を改善することが、「現在から将来まで金を儲け続けること」の条件とされています。
 @スループット(製品を販売することで企業に入ってくる金、つまり売上高
  から材料費を引いたもの)を増大させること。
 A在庫(製品を製造・販売するために投入したモノのうち、売れる可能性の
  ある棚卸在庫や設備)を低減すること。
 B経費(資材費以外の総経費、つまり固定費)を低減すること。
 TOCでは3つの要素に優先順位をつけており、「金を儲ける」という目的のためには@のスループット増大が最も重要で、次がAの在庫低減、最後がB固定費低減であるとしています。そしてこれを実現するための手法として4つの手法・ツールを提示しています。

  ・生産改善手法
  ・思考プロセス(Thinking Process)と呼ばれる問題分析/解決ツール
  ・スループット会計
  ・ クリティカルチェーンと呼ばれるプロジェクト管理手法
 TOCは従来製造業における管理の重点であった各部門で積み上げたコストの管理に代わり、スループットや在庫といった全社的なデリバリーを重視するものです。

○キャッシュフロー経営
 アメリカでは企業に対して株主への奉仕が強く求められてきました。一方、企業の財務状態は貸借対照表と損益計算書で表されていました。しかしながら、資産の価値は外部環境変化によって変化するため、貸借対照表はその実態を必ずしも反映しない場合があります。また損益計算書で示される利益も、その計算方法によって数字が変化する可能性があります。例えば貸借対照表では、在庫や売掛金や設備が資産として扱われています。そのため回収できるあてのない売掛金や、売れるあてのない在庫が増えても、損益計算書上は一時的には売上や利益が上がるように計算されます。

 したがって貸借対照表と損益計算書だけでは、株主へ配当金を払う実力があるかどうかを十分に評価できないわけです。そこでその評価のためにキャッシュフロー計算書が追加されました。企業における現金と現金等価物の増減を計算することで、企業の実力を評価しようとするものです。

 このように、1980年代から1990年代にかけて提唱されてきた米国製造業におけるビジネス革新手法は、大部分がデリバリー管理の範疇にあるものです。ただし特徴としては情報技術を有効に使っている点です。

 情報技術は地理的、組織的に広がった業務プロセスの間のフローにスピードをもたらす手段として使った時に、最も効果を発揮します。米国製造業はその特質をデリバリー管理に生かしたと言えるでしょう。1990年代の米国製造業の合い言葉は「ITを利用したデリバリー管理」だったと言えましょう。

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