納期半減の生産清流化
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製造企業のデリバリー管理とSCM
第1章 デリバリー管理
1.5 全社的デリバリー管理 納期遵守段階
 (1)納期遵守段階の概要

 納期遵守段階での実施事項・ツールを表1.4に示します。
表1.4 納期遵守段階の実施事項・ツール
<活動><実施事項・ツール>
デリバリー保証 ・進捗管理
・納期管理
創発活動 ・提言傾聴会
・部門横断チーム活動
評価制度 ・回答納期達成率
・資材納入率
方針管理 ・回答納期達成率目標
・資材納入率目標
改善活動 ・納期遅延マップ
・業務改善プロジェクト推進手順
・マイルストーン管理手順
・教育訓練計画表

 この段階は納期遵守が最重点ですから、デリバリー保証は、当然各工程における「進捗管理」や最終工程の「納期管理」が改善対象となります。

 納期遵守段階では部門間の各業務のタイミングが整合しているかが重要になるため、各部門で抱えるデリバリー問題に対する認識を共有化し、関連する部門が協力して改善する必要があります。しかし、実際には問題認識の共有化は簡単ではありません。そこで、TDMでは、創発活動として「提言傾聴会」を実施しています。これは各部門の代表者が集まり、部門間の問題点とその対策案を決められたルールにしたがって大々的に提言しあう会です。

 部門間にまたがる問題点を抽出したら、それを改善する組織活動が「部門横断チーム活動」です。まず、部門間にまだがる問題をいくつかにグルーピングします。例えば「営業と工場の間の問題」「生産部と購買部の間の問題」「設計部門と生産部門の間の問題」などです。そしてそれに対応する部門から代表者を選出して部門横断チームを編成します。

 部門横断チームでは、部門チーム活動と同様に問題点の掘り下げ・改善実行の指示・改善進捗の確認をします。部門間にまたがった実行指示を伴うため、部門横断チームのリーダーには経営トップ自らが就任するか、トップから実行権限を委譲された人があたります。

 評価制度として導入するものは方針管理に従い「回答納期達成率」と「資材納入率」が代表的です。これらは約束した納期を守っているか、あるいは守らせているかを示す指標です。少なくとも日付単位、理想的には時間単位で回答した納期と数量が達成できたかを評価指標とし、それを管理します。

 これらの改善対象に対し、方針管理では「回答納期達成率目標」「資材納入率目標」を掲げます。この段階では約束した納期を守れないということを、改善の主眼とします。

 具体的には、プロセス改善として個別改善段階と同様「業務改善プロジェクト推進手順」をもとにして全社の活動を推進します。また、「マイルストーン管理手順」を活用して最終工程の納期管理だけでなく中間過程の進捗・納期管理を行います。

 現状の分析手法としては「納期遅延マップ」を用いて、納期遅延の原因分析を実施します。

 教育では、「教育訓練計画表」が中心となります。このステップになると、各企業の固有技術や一般的な管理技術を幅広く習得した多能工やマルチタレントの人材育成が必要です。特に製造職場では、需要量が変動しても、納期を達成するために多工程持ちの製造ライン構築や、工程間の応援体制の確立が重要になってきます。それを実現するためには個々の人材の多能工化が必須です。

 納期遵守段階から次の材料・仕掛り在庫削減段階へ移行する時期は、日別の納期達成率が95%を超えた頃が目安です。納期達成率の向上はさらに継続することが必要ですが、この頃を目安に次の段階へ移行します。95%を超えると、「ほぼ達成できている」という部門間の信頼感が醸成されはじめます。このレベルになると、残りの5%は「例外的」と感じるようになります。

 次項以降では、納期遵守段階における主な実施事項・ツールについて簡単に説明します。

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