納期半減の生産清流化
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今日の視点2022
 2021年

2022/6/25 マレリの破綻
 6月24日、自動車部品製造のマレリホールディングス(株)が民事再生法の適用を申請した。負債総額1兆1330億円は、新型コロナ関連の破綻で最大とされる。マレリは、旧カルソニックカンセイ(株)とイタリアの自動車部品製造のマニエッティ・マレリが経営統合した企業である。新型コロナウイルスによる自動車メーカの生産台数の落ち込みで経営不振となっていた。
 マレリの下請けは中小企業多い。影響が心配である。それにしても新型コロナによる落ち込みから自動車業界はいつ回復するのだろうか。見通しが立たない。2008年のリーマンショックのとき、自動車業界はいち早く下請け企業への発注を絞ったが、需要が回復したら速やかに発注を戻した。他業界に比べて企業間の在庫が少ないためだろう。ところが今回は需要減少ではなくて、供給減少の状況である。この状況では在庫の少なさがアダになっている。多種類の自動車部品がひとつでも欠品になると完成車が作れないからだ。
 在庫の代わりになるのは余力である。しかし在庫も余力も削り取って金を増やしていくと、危機のときに金があってもモノがないということがあり得る。自動車業界だけでなく金融資本主義全体の問題かもしれない。

2022/6/11 電力需給ひっ迫のウラ
 6月7日、政府は今夏の電力需給について「極めて厳しい状況」との見解を示した。需要家に対して節電を要請するとともに、電力会社に火力発電所の再稼働や燃料の追加調達を要請した。5月27日には今冬の電力ひっ迫の話が出ていたが、それに続いて夏のひっ迫の話も出てきた。
 3月の福島県沖の地震で一部の火力発電所が損傷したが、それはもう回復しているのではないか。エネルギー価格の高騰はあるが、電力会社は価格が上がっても調達する責務がある。また調達価格を電力価格に転嫁できるしくみもある。電力ひっ迫の話が出るたびに、原子力発電所の復活を進めたい人たちの思惑が透けて見える気がする。

2022/5/28 電力需給をかけ引きに使うな
 5月27日、経済産業省は、電力需給のひっ迫が見込まれる今冬に、大規模停電の恐れが高まった場合、大企業などを対象に「電気使用制限」の発令を検討すると明らかにした。この報道を見て、2022年3月22日に発生した電力ひっ迫の記憶から「大規模停電しそうなのか」と一瞬思った。
 だがよく考えると、太陽光発電の比率が高まった現在、電力需給がひっ迫するのは太陽光発電が活躍する夏場の昼ではなく、太陽光が少ない冬場の朝になっている。冬に電力需給がひっ迫するのは、もう何年も続いている現象である。また、「大規模停電しそう」とは言っていない。9社の電力会社のどこがひっ迫するかも言っていない。「大規模停電の恐れが高まった場合」という仮定の話である。
 2022年3月22日は真冬並みの寒さになり、電力需給がひっ迫した。これは3月16日に発生した福島県沖の地震で複数の火力発電所が停止していたことが大きい。例外的な状況であり、電力使用制限するのは当然である。当然検討すべきことがらを、わざわざ報道するのは、現在も続くエネルギー価格の高騰を奇貨として、原子力発電所の復活を進めたい人たちの思惑ではと疑いたくなる。

2022/5/14 オンキョーの破産
 5月13日、オンキヨーホームエンターテイメント(株)が自己破産を申請したという。同社はオンキヨーブランドでオーディオ機器、ホームAV製品、ヘッドホン、イヤホンなどを製造していた。また2015年に一部事業を統合したパイオニアのブランドでも製品を展開していた。
 企業は破産したが、オンキョーの事業とブランド名はどうなるのだろうか。昭和の時代に一世を風靡した日本のオーディオブランドは、21世紀になって撤退や身売りが続出している。パイオニア、サンスイ、オーレックス、コーラル、アイワ、アカイなどである。なくなったもの、名前を変えたもの、名前は残っているが実態は全く別物になったものなど様々である。だが日本の製造業の衰退を象徴しているように思える。

2022/4/30 組織の統制環境
 4月23日、知床半島の海で、観光船が沈没した。4月29日になって沈没場所が特定されたが、乗客乗員26人のうち、12人はまだ行方不明である。
 遡る4月16日、早稲田大学で講演した吉野家の常務取締役だった伊東正明氏が「生娘をシャブ漬け戦略」と発言した。4月19日には取締役を解任された。
 いっけん無関係の事件であるが、私は組織の内部統制で言うところの「統制環境」の問題を想起した。統制環境には7つの要素があるとされる。(1)誠実性および倫理観、(2)経営者の意向および姿勢、(3)経営方針および経営戦略、(4)取締役会および監査役または監査委員会の有する機能、(5)組織構造および慣行、(6)権限および職責、(7)人的資源である。ふたつの事件には(1)と(2)が大きく影響していたのではないかと考える。
 4月27日には三菱電機で電力施設用の変圧器で検査不正があったことが発覚した。2021年に発覚した鉄道車両向けの空調装置の検査不正に続くものである。経営層から現場まで「誠実性および倫理観」が欠けた組織は問題を繰り返すのだろう。

2022/4/16 第7波がやってきた
 新型コロナの感染者数は、2022年の年明けから増加し、いわゆる第6波がやってきた。2月上旬には全国の日あたり感染者数は、10万人を超える日があった。2月下旬には日あたり死者数が200人を超える日もあった。しかしその後感染者数は減少に転じ、3月21日でまん延防止等重点措置が解除となった。
 ところが3月下旬以降、感染者数は再び上昇傾向を示しており、日あたり5万人を超える日がでている。今回、東京をはじめ大都市圏の感染者数はあまり増加していないのに対して、沖縄県など地方で増加している傾向がある。いずれにしても、人の移動や交流が盛んになると増えるというパターンは相変わらずである。2021年の第3波、第4波、第5波の感染者数ピークは、それぞれ1月、5月、8月にという大型連休時期であった。新型コロナの変異によってピークの高さは違うが、2022年も似た動きをトレースしている。
 医療現場での対応は進歩しているのだろう。だが、政府から聞こえてくるのは、まん延防止の発出とワクチン接種だけで進歩がない。新型コロナとは大型連休につきものの行事として付きあっていくしかないのか。

2022/4/2 中国の航空機事故
 3月21日、中国南部の広西チワン族自治区梧州の山中で、中国東方航空機が墜落した。事故機は、ボーイング737-800で、雲南省昆明から広東省広州に向かっていた途中、14時38分に墜落した。これまでに、乗客・乗員132人全員の死亡が確認されている。ボイスレコーダとフライトレコーダが回収されたが、損傷が激しいという。
 航空機の位置情報によると、14時20分に巡行高度の約8,800mにあったものが、1分余りで約2,200mまで高度を下げ、14時38分に墜落したことがわかっている。現場近くの監視カメラ映像から、機首を下にしてほぼ垂直に落下したという見方がある。一方、垂直ではなかったという目撃証言も出ており、真相究明はこれからである。

2022/3/19 伊江島の航空機事故
 3月12日12時45分ごろ、沖縄県の伊江島空港で小型飛行機が墜落し、乗員2名が死亡した。着陸態勢にあった飛行機が、滑走路手前のフェンスに当たった後、墜落し炎上した。
 機体は、離島医療を支援するNPO法人が所有するものである。アメリカのビーチクラフト社製の6人乗りプロペラ機だった。1995年に製造され、2015年に発足したNPOが購入した。年1回の検査を受けており、3月9日の点検でも問題は発見されていなかった。
 当日は、訓練飛行中だった。訓練生は61歳。元航空自衛隊のパイロットで操縦歴は40年。4月からの勤務に向けて2回目の訓練中だった。教官は74歳。民間航空で1万時間以上の飛行経験があり、2019年から教官となった。
 当日の天候を調べると、那覇では晴れで最高気温23℃だった。天気図を見ると風も問題なさそうである。現在、国の運輸安全委員会が調査中であるが、状況からみると原因は想像しにくい。

2022/3/5 核なき日本にするには
 2/24にロシアのウクライナ侵攻が始まった。ロシアの侵攻速度は遅く、泥沼化の様相を呈している。プーチン大統領は核兵器の使用をちらつかせている。3/1にはウクライナのザポロジエ原発が砲撃され、関連施設が損傷した。
 西側諸国は、ロシアに対して経済制裁を発動している。だがロシアは天然ガスの産出国であるため、どこか及び腰でもある。日本では天然ガス不足を補うために原発稼働を推進すべきとの声もある。また、ロシア・中国・北朝鮮が持つ核兵器の脅威に対して、日本も核武装すべきとの論も活気づいている。
 日本も、戦争状態になった場合、海外の核兵器と国内の原発の二重の脅威にさらされる。その日本が、とるべき戦略は、核武装と原発稼働ではないだろう。ウクライナもかつて核兵器を保有していたがロシアに取り上げられた。仮に日本が核武装しても米国に取り上げらる可能性もある。長期的には全体主義の傾向がある日本には、プーチンのような独裁者が現れる可能性があるが、その場合に核兵器保有はリスクをかえって高める。また原発は、ひとたび標的になれば最大のリスクになる。日本の生存可能性を高める戦略は、非核武装、再生可能エネルギー開発、外交による戦争抑止だろう。

2022/2/19 航空業界の動向
 2/18、LCCのピーチ・アビエーションが資本金を75億円から1億円に減資すると発表した。これにより中小企業の扱いになり、節税効果も見込むとされる。現在、国内では新型コロナのオミクロン株によって、1日あたりの死者数がこれまでの最多を記録している。だが、航空業界ではコロナ後に向けた手を打ち始めている。
 昨年末からのニュースをチェックすると、LCCを中心に航空機を発注する動きが見られた。
  2021年11月 インドのLCC、アカサ・エアが、ボーイング737MAXを72機発注
  2021年11月 エアバスがドバイ航空ショーで、408機の受注を獲得
  2021年12月 米投資会社である777パートナーズが、ボーイング737MAXを30機発注
  2022年2月 マレーシアのLCC、キャピタルAが、電動垂直離着陸機VX4を100機リースする覚書を締結
 航空産業および航空機製造業は、回復への期待が高まっている。ただし長期的にみると、航空機需要の中心はLCCによる小型機になっていくだろう。客数や機体数数は増えるが単価は下がることを覚悟しなくてはならない。

2022/2/5 新型コロナとインフルエンザのリスク比較
 現在、日本国内の新型コロナウイルスは、オミクロン株が主流である。全国で1日10万人を超える感染者が発生している。オミクロン株は感染力が高い一方で、重症化しにくいとされているが、感染者の増加とともに重症者も増えている。
 ところで、新型コロナウイルスのリスクは、実際どの程度なのだろうか。年間の死亡者からみてみよう。厚生労働省の2020年末の発表資料によると、新型コロナによる2020年12月31日までの国内の死亡者は、3,414名である。厚生労働省の2021年末の発表資料では、2021年12月31日までの国内の死亡者は、18,393名(2021年間は14,979名)である。
 インフルエンザの場合、超過死亡者数で推定している。国立感染症研究所のサイトによると、1987年以降、超過死亡者数が最も多かったのが、1998/1999シーズンである。この年には35,000名を超える超過死亡者数があったと推定されている。新型コロナ前の2018/2019シーズンでは3,276名とされている。つまり、デルタ株が優位であった2021年の新型コロナは、やはり平年のインフルエンザよりも死亡リスクが高い。
 さて、オミクロン株はどうなのか。そして、次の変異株ではどうなるのかを見ていく必要がある。ただし新型コロナやインフルエンザより死亡リスクが高いのは、自殺(2021年20,830名)であることに変わりない。

2022/1/22 トンガの火山噴火
 2022年1月15日、トンガ王国のフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山で大規模噴火が発生した。周辺の島では、爆発音が聞かれ、噴石と火山灰が確認された。発生した津波の高さは最大15 mとされる。日本でも気圧変動と潮位変化が観測され、潮位変化は鹿児島県奄美市小湊で1.2 m、岩手県久慈港で1.1 mに達した。1/22の時点で、現地は火山灰に阻まれて周辺国からの支援は思うように進んでいないようである。
 これは火山国である日本にとって他人事ではない。近年でも1991年の雲仙岳、2014年の御嶽山の噴火では死者を出した。東京でも死者は出ていないが1986年の大島三原山、2000年の三宅島の噴火があった。規模的に今回のトンガ火山の噴火に近いのは、宝永年間1708年の富士山の噴火である。富士山ではいずれ同規模の噴火は起きるだろう。時期がわからないだけである。
 7300年前には九州の鬼界カルデラで巨大噴火が発生し、九州の縄文人を絶滅させたという。こうした巨大噴火に個人で対処はできないが、国家レベルではリスク分散や外国との連携などの対策は必要だろう。

2022/1/8 第6波がやってきた
 正月連休が明けて、新型コロナウイルスの全国の新規感染者数が急増している。1/7には全国で6,214人の感染者が報告された。私はコロナウイルスの感染者増に関して「同窓会効果」が主要因ではないかとの仮説を持っていた。日常と異なるグループと密に接触する機会が増えることが感染者増の重大要因であるとするものである。第5波は2021年夏休みの同窓会効果、今度の第6波は年末年始の同窓会効果である。今月は成人式もあるので、感染者はまだ増えるだろう。
 今回の第6波では、オミクロン株が主役であることもはっきりしてきた。海外の動向をみると感染力は非常に高いが、重症化率は低いようだ。これは安心材料である。そして何よりの安心材料は、特定人物の主観や願望に基づいた政策が減ったようにえることである。2020年の第3波ではGoToトラベルやGoToイートが継続された。2021年の第5波では東京オリンピックが強行された。今回は、そうした無理スジの政策は今のところ出ていないように見える。ワクチン一本槍ではなく、検査体制や病床の確保をしっかりやってくれることを望む。

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