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2021/3/6 非正規雇用という名の分断
働き方改革の議論に加わる機会があった。そこで疑問に思ったのは「非正規雇用」という呼称である。もともと正社員というのは法律上の用語ではないという。したがって非正社員や非正規雇用というのも法律上の用語ではない。だが一般的には以下のように分けられている。
区分 | 正規雇用 | 非正規雇用 |
契約 | フルタイム 無期限 | パートタイム 有期限 |
勤務 | 休まない 時間外勤務を厭わないことで上司に忠誠を誓う | 勤務形態選べる 上司に忠誠を誓わなくてよい |
待遇 | 高賃金 賞与あり 社会保険あり | 低賃金 (場合によって)社会保険なし・賞与なし |
どうしてこのような分け方が定着したのだろうか。原因は、正規非正規で分断したほうが都合のよいビジネス、つまり独自性と付加価値が低く、価格で競争するスタイルにあるのではないか。低賃金を武器に先進国の模倣を習い性としてきた戦後の日本企業に多くみられるスタイルである。そこにおいて労働力は付加価値の源泉ではなく単なるコストである。非正規の名のもとに「あなたは単価が安くて当然」とする風潮を作ってきた。一方、正社員には優越感を与える代わりにサービス残業などで実質単価を下げさせるのである。
原理的にはパートタイムで有期限の高賃金社員というのもあり得るのだが、独自性と付加価値の高いビジネスが前提となる。日本型ビジネスからの脱却なしに働き方改革はできないのではないか。
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