納期半減の生産清流化
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今日の視点2017
 2016年  2018年

2017/12/23 サラリーマンの副業
 12月17日の報道によると、経団連が働き方改革推進の一環として、これまで反対してきた従業員の副業・兼業を容認する検討を各社に促す方針に転換するという。政府が副業・兼業を認める方向で制度改正を進めていることに対応するものだとされる。疑問なのは、今まで政府は副業等を認めない前提で制度を設計していたのかという点である。副業を禁止していたのは個別企業の都合だと思っていたのだが、違うのだろうか。詳しく報道している機関はない。
 容認されようがされまいが、実態として副業している人は大勢いる。本業以外での収入を得るために夜間アルバイトをしている人だけではない。企業の経営者で講演会や執筆で稼いでいるケース、土日に農地を耕して農作物を作っているケース、アパート経営をしているケース、小説家として本を出しているケース、コンサルタントとして他企業を支援しているケース、陸上競技でオリンピックに出場して母国からメダル獲得のボーナスが支給されたケース。これらのケースは私が所属していた企業に実際いた人たちである。副業禁止の企業でもこうした人はいるのではないか。もっとも、アパート経営をしている人などは、アパートと会社のどちらが本業だかわからないのだが。
 そして収入がない仕事もたくさんある。自治会の会長をやっている人、マンション管理組合の理事長をやっている人、PTAの役員をやっている人、子どものサッカーチームのコーチをやっている人、これらの人はどうか。お金にならない仕事はよくて金が絡むとダメというのでは働き方というより人間の生き方の問題にかかわる。副業や兼業は、そもそも企業や政府が容認するしないという問題ではないだろう。

2017/12/9 天皇陛下の退位と働き方改革
 天皇陛下の退位日が2019年4月30日に決定した。宮内庁では3月31日に退位し、4月1日に新天皇が即位するという案を推していたようだが、官邸側が4月30日退位を進めたようだ。4月の統一地方選挙を理由のひとつにしたとされる。天皇陛下の退位や即位と選挙を天秤にかけたのだ。
 本音は5月1日を祭日にし、ゴールデンウイーク10連休にしたいのではないか。製造職や事務職のサラリーマン請けを狙う作戦が透けて見える。働き方改革にも結びつけたいのか。だが農業・漁業・小売・サービスなどの業種にとって強制的な10連休は迷惑である。特に子どもを持つ家庭では深刻である。10連休している子どもの不満を向き合う農業や小売業の親が増えるだけである。  国民の祭日を増やすのが働き方改革ではない。好きな時に働き・休むのが改革ではないだろうか

2017/11/25 品質データ改ざん
 三菱マテリアルの子会社である三菱電線工業、三菱伸銅、三菱アルミニウムが製品の検査データを改ざんしていた問題が発覚した。今年は神戸製鋼所の品質データ改ざん、日産自動車とスバルの無資格検査など次々に日本製品の信頼を落とす行為が報じられている。
 遡れば2015年に発覚した東洋ゴムの免震ゴム事業での大規模なデータ改ざん、同じく2015年に発覚した旭化成建材が建設したマンション建築基礎工事でのデータ改ざんが思い出される。また2016年には羽田空港滑走路の地盤改良工事で、東亜建設工業が施工データを改ざんも報じられた。驚くのは、きのう今日始めた不正ではなく、ずっと以前からやっていたという例が多いということだ。日本製品の品質が良いというのは、思い込みであった。粉飾された二流品が多いのだった。
 原因を国際競争によって引き起こされたコストダウン圧力に求める説もあるようだ。しかし主因は日本社会の体質にあると思う。データや事実よりも嘘や面子を優先する体質、個人の良心よりも組織防衛や組織内での同調が求められる体質である。
 いま、大本営に同調する体質は政治の世界で際立っている。だがそれは日本社会の縮図なのだろう。一方、恐らく内部告発によって発覚したであろう一連のデータ改ざん等の問題は、日本社会が良い方向へ向かっている兆候でもあると思いたい。

2017/11/11 働き方改革の極意は「捨てる」
 11月8日、中小企業診断協会主催の経営診断シンポジウムで拓新産業株式会社の藤河次宏社長の講演を聞いた。「働きやすい職場環境を目指して〜我が社の働き方改革30年〜」というタイトルだった。働き方改革は1日で成らずという話である。
 やっていることの多くは「捨てる」という話であった。同社は建設機材レンタル等を事業としているが「業界慣習は捨てた」そうである。さらに「顧客要望に無理して応えない」「時間指定納品はやらない」「交際費は使わない」を実施している。また「売上を追わない」「売上10%以上の顧客は減らす」「会議はやらない」「営業日報書かない」「社員旅行はやらない」のだそうだ。
 やっているのは「コストダウン」「同好会サークル」「各種委員会」「研修」である。一番重要なのは「顧客要望に無理して応えない」ことかもしれない。人口減少局面では売上規模を追う必要はない。規模を捨て、価値観が合うお客様とだけ取引するという考え方の改革が必要なのだろう。

2017/10/28 国難去ってなお国難
 10月22日、衆院選が終わった。国難突破を唱えた自民党は改選前と同数の議席を確保した。立憲民主党が小粒な野党第一党となり、小賢しい独裁者の新党は絶望を残した。公明、維新、共産は議席を減らし日本のこころは消滅した。
 金正恩はミサイルを発射せず、籠池氏の時限爆弾は爆発しなかった。その結果は選挙中盤の見込み通りである。国難突入選挙は終わったが、首相は変わない。臨時国会は開催されず、丁寧な説明が聞ける見込みは立たない。国会の長い夏休みは続いている。国会ネグレクトを当たり前の風景にしようとする国難首相の作戦だけは着実に進行し、次の国政選挙の投票率を押し下げる要因は増大する。

2017/10/14 将軍の見物
 10月10日、衆院選が公示され、選挙戦が始まった。2週間前から状況は転変した。日和見を決めた小池百合子によって希望の党は減速した。立憲民主党が結党され一定の存在感を示している。しかしながら野党の票は割れ、安倍自民党を利する結果になりそうである。
 そんな中で動きが少なくなっているのが北朝鮮である。10月10日の朝鮮労働党創建記念日に合わせてミサイル発射の憶測があったが、今のところ動きはない。金正恩は日本の衆院選の動向を見ているのではないか。ミサイルを打つと安倍晋三を利するだけであると考えているのではないか。
 金正恩の狙いはアメリカとの交渉である。横から吠えてくる安倍晋三はうるさいだけである。そんなウザいヤツの得点になるミサイルはしばらく封印したのではないか。日本の政権がどうなるか高みの見物である。
 ミサイルが飛ばないとなると衆院選を左右しそうな要素で残っているのはモリカケ問題である。籠池氏は拘束されているが、時限爆弾を残しているかもしれない。

2017/9/30 国難突破解散から国難突入選挙へ
 9月28日、衆議院が解散した。首相自らが「国難突破解散」と名付けているが、「おまえが国難」との声も多い。衆院選は10月22日投開票となる。
 振り返れば2016年7月の参院選では、デフレ脱却ができず、安保法制の理解が得られない弱みを持つ自民党がいた。それに対してアベノミクスに代わる経済政策が打ち出せず、政権交代にまで至る信頼を得られない民進党がいた。どちらがより弱いかを考え、その逆に投票するという気が重い作業だった。
 今回の衆院選は、経済、外交、共謀罪、国会無視、森友加計などでさらに失点を重ねた自民党と、瀕死の民進党のデスマッチとなるはずだった。そこに登場したのが希望の党である。民進党は解体され、小池百合子の衆院立候補も濃厚になってきた。
 頭の悪い独裁者と小賢しい独裁者のどちらを選ぶかという究極の選択になりそうである。ウンコ味のウンコとカレー味のウンコのどちらかを食べさせられるという、国民にとって災難となる国難突入選挙である。

2017/9/16 柏崎刈羽原発が再稼働へ
 9月13日、原子力規制委員会東京電力柏崎刈羽原発6・7号機の再稼働に向けた審査で、再稼働の資格を条件付きで認めた。 条件とは「主体的に関係者に向き合い、廃炉をやり遂げる」「福島の廃炉と柏崎刈羽の安全性向上を両立する」という決意表明を原発の保安規定に書き込ませるというものだ。
 福島第一の汚染水対策もできていない前科者を「がんばります」という表明だけで釈放するのはなぜなのか。現在わが国の電力需給には余力があり、経済は堅調、貿易収支も黒字である。インドへの原発輸出を進めるための実績づくりなのか。そんな疑いを抱く動きである。

2017/9/2 ホンダジェットが上半期首位
 8月16日、Honda Aircraft Company(ホンダの航空機事業子会社)の発表によると、ホンダジェットが小型ビジネスジェット機のカテゴリで2017年1〜6月の出荷台数で首位に立った。2017年1〜3月は15機、2017年4〜6月は9機の合計で24機である。ライバルとされるブラジルEmbraerの「Phenom」シリーズ、米Cessna Aircraft Companyの「Mustang」や「M2」などを超えたとされる。
 納入価格は1機の平均で5億3350万円(1ドル110円換算)であるという。また、製造は月産4機ペースとされるが、2018年から2019年には年間80機に引き上げる計画である。
 一方MRJは苦戦が続いている。日本時間の8月22日に試験飛行中にエンジンの一つが停止するトラブルがあった。原因は調査中である。その影響で米国で試験している4機の全ての飛行試験が中止になっている。
 ホンダジェットとMRJで明暗が分かれている。だがホンダジェットも2003年の初飛行から2015年の納入まで12年かかっている。2015年に初飛行したMRJの道のりはまだこれからである。心配なのはホンダジェットが民間事業であるのに対して、MRJが国策事業として進められていることである。市場や企業の実力よりも国の思惑が優先された原子力や半導体の再現にならないことを祈る。

2017/8/19 電力需給2017年夏のまとめ
 東京では8月になってから曇りの日が多く、連日降雨が記録されている。中旬以降は日差しがなく気温も低い日が続いている。このまま行くと今夏の東京電力管内の最大需要電力は、8月9日の5383万kWとなりそうである。この日は長寿台風だった5号が通過した次の日であり非常に蒸し暑かった。昨年も同じ8月9日に最大電力5332万kWを記録している。この日も蒸し暑い日だった。2015年までは35℃以上の猛暑日が数日続くと最大電力を記録するパターンだったが、昨年から1日の蒸し暑い日で最大電力を記録するというパターンに変わってきている。
2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年
月日8月8日7月30日7月23日2月14日8月30日8月9日8月5日8月7日8月9日8月9日
万kW6089545059995150507850934980495753325383

 ちなみに最大需要電力が記録された8月9日の供給力は6316万kWであった。負荷率は85%で余裕は十二分にあった。供給力からみると原発は既に過去の遺物である。

2017/8/5 長寿台風
 8月5日朝、台風5号が屋久島の南にある。九州南部や奄美では、暴風・高波・大雨がつづいている。この台風はすでに発生から15日が経過している。
 気象庁のホームページによると過去最長の長寿台風は1986年の14号である。寿命は19.25日だった。この14号は台湾付近に停滞し、台湾では死者63名、行方不明者28名の被害をもたらした。現地では「超級怪台」という名前がついている。
 いまの5号もあと数日間、九州から東日本までに影響しそうである。今年は各地で大雨による被害が出ている。警戒が必要である。

2017/7/22 記録よりも記憶
 記録を突き付けられた政治家が「記憶にない」と答弁するシーンを見る日が多い。「違う」「本物ではない」と完全否定するケースもある。「むこうが勝手に」「誤解だ」と相手のせいにする手口も流行っている。
 脳科学によると出来事を記憶する「エピソード記憶」というのは、脳内に理路整然に存在するのではないという。断片的に残っているものが思い出すときに再構築される。思い出は、無意識のうちに都合よく辻褄合わせがされている可能性が高い。
 ビジネスは記憶に頼ると間違いがおこることを前提にしている。だから依頼や指示は文書で示し、実績は記録し、合意事項は覚書に残す。だが政治の世界は違うらしい。口頭で指示し、メモはとらず、記録は廃棄する。もっとも国民的合意文書である法律や憲法も勝手に解釈するのだから、記録など何の役にも立たないということか。

2017/7/8 三菱航空機の債務超過511億円
 7月1日の報道によると、MRJを開発する三菱航空機の債務超過は2017年3月期で510億円になっていることがわかった。資本金約1000億円に対して2017年3月末の累積損失額は1510億円ということである。同社はすでに2016年7月期に債務超過になっていた。親会社の三菱重工業は2017年3月期の決算で、三菱航空機の株式評価損と、同社への貸付金について貸し倒れ引当金を計上している。
 累積損失は少なくとも納入開始予定の2020年まで膨らみ続ける。だが2020年も厳しいという声が聞こえている。ホンダジェットは初飛行から納入まで12年かかった。2015年11月に初飛行したMRJが12年かかったら納入は2027年である。国策で進める事業は中止しないだろうが、それによって第二の東芝が誕生する恐れはある。

2017/6/24 人口減少局面での生きかた
 最近、完全失業率と有効求人倍率の推移を見た。年次グラフを見るとリーマンショックの前後で大きく上下していることがわかる。だがそれ以外は一貫して完全失業率は下がり有効求人倍率は上がっている。アベノミクス景気が始まったとされる2012年(平成24年)12月以前から有効求人倍率は上がり続けているのだ。
 つまり完全失業率と有効求人倍率は国内の景気や政策とは関係なく、世界規模の景気変動と国内生産年齢人口の推移だけに左右されているように見える。官邸の資料によると、日本の生産年齢人口(15歳―64歳)は1997年の8,699万人年をピークに1998年から減少局面が始まった。2016年には7,665万人とピークから12%減少している。
 歴史的に見ても人口減少局面になると失業率は下がるのが常と聞いたことがある。人口減少による需要の縮小を問題視する人がいるが、いつの時代も貿易があり域外の需要はある。問題は供給力のほうである。幸い人口が少ないなら量で稼ぐ必要はない。高付加価値の商品サービスを提供できれば生きていける。

2017/6/10 個人的シンギュラリティ
 5月27日、囲碁の人間対AI三番勝負が終わった。人類最強とされる柯潔九段とAIのAlphaGoの勝負はAlphaGoの三連勝で幕を閉じた。6月5日にはAlphaGo同士が対局した棋譜が公開された。それには人間では思い付かない手が含まれ「完全に意味不明な進行が頻出」などと言われている。
 2045年にAIが人間の知性を超えるとされるシンギュラリティ(特異点)がリアリティを持つ話になってきた。だが私個人としてはコンピュータに既に何度も超えられている。計算能力は電卓が出てきた時に負けた。漢字を書く能力はワープロに負けた。手紙を届ける能力はメールアプリに負けた。英訳能力はGoogle翻訳に負けた。楽器の演奏能力はシーケンサーに負けた。目の解像度はハイビジョン放送に超えられた。囲碁はスマホの無料アプリに全く歯が立たない。知識の量はWikipediaの足元にもおよばない。まもなく自動車の運転能力も超えられそうである。
 AIが人間並みになっても心配はしていない。人間は自分が思っているほどすごくないからだ。人間に個性があるようにAIにも個性が出てくると思っている。ダメなAI、頑張るAI、ズル賢いAIなどである。こうしたAIを見分けてうまく付き合っていければ、シンギュラリティは特異点でなくなる。

2017/5/27 MRJの甘い計画と厳しい現実
 5月9日に三菱重工業は2017年3月期の決算を発表した。2016年7月に債務超過となった三菱航空機など子会社株式の評価損と、同社への貸付金について貸し倒れ引当金を計上したことで約1200億円の特別損失が発生した。
 三菱航空機が開発するMRJは2017年1月に5回目の納入延期が発表されている。当初予定の2013年から現在の予定は2020年である。今年3月末で三菱航空機を退職した友人の話を聞くと2020年も厳しい状況のようだ。ホンダジェットは2003年の初飛行から2015年12月の納入まで12年かかった。2015年11月に初飛行したMRJも同じ位かかる可能性もある。納入開始が遅れる影響は、受注減だけではない。開発費の増大は免れない。さらに既に契約している航空会社からの違約金請求も発生する恐れがある。
 MRJは「悲願の国産ジェット機の開発」という名のもとに、半ば国策として進められてきた。国策で進める事業の甘さは何度も見てきた。MRJも甘い計画だったのだが、既に厳しい現実が明らかになってきた。

2017/5/13 雑な進め方
 安倍首相が発した「2020年に憲法改正」のメッセージが波紋を呼んでいる。本人は首相ではなく自民党総裁の立場での発言としていた。だが自民党内でも合意されていなかったことが判明した。岸田氏や石破氏など自民党幹部からも疑問の声が上がっている。
 何でもいいから改憲して歴史に名を残したい。これが安倍首相の本音であることがはっきりしてきた。民主主義国家の政治は合意形成の技術を基盤としている。政治家が本音をさらけ出して許されるのは、合意形成にプラスになる場合だけである。私利私欲をさらけ出し合意に近づかない進め方は、反対者を増やすだけでなく賛同者だった人も離れていく。
 かくして首相が雑な進め方で改憲に前のめりになるほど改憲が遠ざかる。賛同していたのに裏切られた籠池氏のような気分を味わう人が増えていく。

2017/4/29 森友学園のリアル
 4月21日、森友学園は大阪地裁へ民事再生法の適用を申請した。負債総額は推定20億円とされる。3月23日に籠池前理事長が国会で承認喚問を受けた後、小学校の認可申請取り下げ、財務省からの更地での土地返還請求、小学校校舎の代金支払いに関わる幼稚園の土地建物の仮差押えなどが重なり経営の見通しが立たなくなった。
 だがもともと経営の見通しは疑問視されていた。土地の8億円の値引きがなかったら、土地建物などで25億円程度の投資になっていたはずである。児童を定員どおりに集めたとしても、投資回収は難しかっただろう。新設小学校の児童が満杯になるには6年かかる。小学校の投資回収は元来難しいため、小学校を持つ私学は限定される。早稲田大学でも創立101年目の2002年になってようやく早稲田実業初等部(小学校)を開校している。
 資金繰りや教育内容のリアルに目をつぶって梯子をかけた人々により森友学園は持ち上げられ、そして梯子を外された。4月26日には籠池氏が財務省幹部と面会した時の録音が公開されたが、財務省や政府はノーコメントを貫いている。だがリアル・ファクトがどこにあったのかははっきりしてきた。

2017/4/15 トランプもうひとつの突破口
 4月7日、米中首脳会談の最中に、米軍がシリアの空軍施設をミサイル攻撃した。さらに米軍は4月13日にアフガニスタンのIS施設を狙い、非核兵器では最強といわれるMOAB爆弾を投下した。いずれもトランプ大統領の指示によるものだ。
 トランプ大統領は北朝鮮が核実験を実施すれば攻撃をする、との観測もある。通商政策を失地回復の突破口としたいトランプ大統領だったが、爆弾も失地回復の手段として使いだした。
 北朝鮮との間の軍事衝突があれば、朝鮮半島や日本が巻き込まれる。だが米国に巻き込まれたい日本の首相は歓迎している節がある。2月15日の参院本会議で首相は、米国からの武器の購入を通じて米国の雇用創出に貢献する考えを示している。
 間もなく惨劇の幕が上がる。主役は中東や極東の人や金を犠牲にしてアメリカファーストを実現しようとする大統領、助演は隷属する首相である。

2017/4/1 トランプの突破口は経済縮小への入口か
 3月31日、米国のトランプ大統領は対米黒字国を対象に黒字の原因分析を命じる大統領令に署名した。中国、日本、ドイツなどが対象となる。移民対策などが思うように進まない大統領にとって、通商政策を失地回復の突破口にしようとする意図もあるようだ。
 トランプ大統領は、貿易赤字削減を掲げる。だが貿易赤字は自国産業界の輸出努力で減らすべきだろう。為替や関税の操作で輸入を制限しても自国内の経済が減速する可能性がある。
 好例は日本である。日本の対中東貿易は石油の輸入によって赤字である。だが石油の輸入を制限したり関税をかけたりしたら自国経済は大減速する。また日本では円安誘導によって輸出企業が潤った。だが企業の利益は投資家以外の市民にはトリクルダウンしていない。一般市民は輸入品の価格上昇に直面している。企業も一般市民も政策で演出された景気であることを理解しているから、将来への投資や大型消費は差し控えたままである。
 大国が保護主義的な通商政策をとると世界経済が縮小へと向かうだろう。アメリカにとっては「輸入が大きく減った一方で輸出も減り、その結果貿易赤字が減った」ということになりかねない。

2017/3/18 森友学園のリアル・ファクトは
 2月に発覚した森友学園の問題が炎上している。ついに学園の籠池理事長が3月23日に国会で証人喚問を受けることになった。この問題では様々な関係者が証言しているがファクトが見えてこない。オルタナティブ・ファクトというのはリアル・ファクトが自明だからこそのオルタナティブなのだが、森友問題ではリアルが見えない。全部がオルタナティブに見えている。
 オルタナティブ・ファクト的行動とは、喫煙を見つかった高校生がタバコを消しながら「やってねえよ」と言い張るようなことである。「違う」と強弁されると正しいと信じていた自分のほうが間違っているかもしれないと不安になる。森友問題で感じている同種の不安感が証人喚問によって解消されることを期待したい。

2017/3/4 オルタナティブ・ファクト
 「オルタナティブ・ファクト」という言葉が注目されている。最初はトランプ大統領の就任式に関することだった。米国メディアが就任式の聴衆が「過去最少」と報道したのに対して、大統領側は「過去最大」と反論した。これをオルタナティブ・ファクトと呼ぶのだそうだ。写真を見れば聴衆は確かに少ない。だが「違う」と強弁されると自分のほうが間違っているかもしれないとの疑念が湧いてくる。
 確かに自分が事実だと思っていることは、メディアや自分の認知の癖を通して認識されたことである。対象のどこをどう切り取るかによって事実は複数立ち上がる。
 オルタナティブ・ファクト的な行動は、昔からあった。喫煙を見つかった高校生がタバコを消しながら「やってねえよ」と言い張る。愛人との不倫現場に踏み込まれた男が「何もなかった」と言い張る。こうした行動をとるのは不良や悪者であると相場が決まっていた。
 だが米国だけでなく日本の政治家や高名な経営者でもこうした行動様式をとる人が増えているように思える。私の認知の生み出した幻想であることを祈る。

2017/2/18 日立と三菱重工業のリスク
 2月8日、日立製作所は三菱重工業から南アフリカの火力発電プロジェクトに関連して7634億円の請求を受けたと発表した。もともと日立が2007年と2008年に受注した石炭火力発電ボイラー設備の遅延が発端になっている。2014年に日立と三菱重工が火力発電事業を統合し、三菱日立パワーシステムズにに譲渡されたときに、この遅延プロジェクトは暫定価格で日立から三菱日立パワーシステムズに引き渡された。その譲渡価格が合意できておらず、今回の請求につながったという。
 決着はまだ先になりそうだが日立、三菱ともに数1000億円のリスクを抱えていそうである。特に三菱重工業は既に大型客船での損失計上が発生した上に、MRJの開発遅延、原子力での損失拡大などのリスクも抱えており第二の東芝になる恐れもある。

2017/2/4 原子力事業の迷走
 1月27日、東芝は原子力をエネルギー事業の最注力領域から外すと表明した。ウエスチングハウスを2006年に買収して以降の損失が最大7000億円に達するとみられる。
 2月1日には日立製作所がウラン濃縮の開発事業から撤退する方針を発表した。これまで日立とGEが出資するGE日立ニュークリア・エナジーの子会社がウラン濃縮技術を開発していた。しかしウランの需要が滞るなかで2017年3月期に700億円の損失を計上する可能性があるという。
 2016年12月には三菱重工業が破綻懸念があるフランスの原子力大手アレバに490億円の出資を決めている。東芝、日立、三菱重工業ともに原発事業が重荷になっているが、なかなか足を洗えない。政治的な背景があるのだろう。原子力を通じて日本の資金を流出させたのは真犯人は誰なのだろうか。

2017/1/21 MRJの計画変更
 1月20日の報道によると、国産ジェット旅客機MRJの初号機納入が延期されることが明らかになった。現在予定されている2018年中ごろから最大2年延期される未通しである。今回で5回目の納期変更である。主要部品の電子機器で不具合が起こるおそれがあり、設計変更が発生したことが原因とされる。
 納期遅延による受注キャンセルの恐れがある。また開発費が当初計画の1800億円から5000億円を超える見通しとなったことも報道されている。三菱航空機の親会社である三菱重工業の業績対する影響も懸念されている。
 三菱重工業は、2016年10月に10万トンを超える大型客船の建造事業から撤退すると発表した。2隻の納期遅れによって2400億円を超える損失を計上したのが原因である。一方で2016年12月には破綻懸念があるフランスの原子力大手アレバに490億円の出資を決めた。MRJの採算が悪化すれば、東芝の二の舞となることもあり得る。

2017/1/7 MRJの甘い計画
 昨年末、国産ジェット旅客機MRJの開発費が5000億円を超える見通しとなったことが報道された。当初計画の1800億円から3倍に増加することになる。
 量産初号機の引き渡しは、2018年中ごろを予定している。しかしこれも遅れる見通しが濃厚になってきている。三菱重工は全日空に納期が遅れる可能性を説明したとされるが、具体的な時期は示されていない。ライバルとされるブラジルエンブラエルの最新機E2シリーズは2018年に量産初号機を納入予定である。先行していたMRJの優位性は薄れつつある。開発投資の回収はさらに困難となる恐れがある。
 私はかねてから政界で甘い計画のまま突き進む「やるやる詐欺師」の跋扈を指摘してきた。原発政策、年金政策、経済政策、東京五輪など軒並み甘い計画が破綻し、将来世代につけ回しするのを見てきた。だが詐欺師は政界だけではないようだ。日本全体が甘い計画が好きなのかもしれない。
 脳科学によると過去の記憶が弱い人は、未来の計画も弱いそうである。日本人は、過去を忘れ、未来を想像できず刹那に生きるチンパンジーに近いのかもしれない。詐欺にあってもすぐ忘れてしまえば、それはそれで幸せなのだが。

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