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2012/12/22 金融緩和の行方
 12月16日の総選挙で安部自民党が大勝し、自公が衆議院の3分の2を占めることとなった。12月20日には日銀が10兆円の追加金融緩和を決めた。次期首相になる自民党安部総裁の要請に応えた形となっている。
 しかし金融緩和はこれまで何度もやってきたことの繰り返しである。金融緩和の目的は、優良な企業の設備投資などを活発化させることであろう。だが優良な企業は、資金に余裕がある一方で投資には慎重である。お金は不良企業の延命のために流れていく。かえって実体経済の変革を遅らせるだけの結果にならないか。
 自給自足の人にお金はいらない。食欲のない人にお金を渡しても食事をしない。お金を必要としている人は餓死寸前の人たちばかり、というのでは困る。食欲のある健康な人を探すあるいは育てていくことが重要だろう。

2012/12/8 分権的意思決定の強み
 企業の中にには、本社や経営トップに権限が集中した集権的な統治形態を持つ会社がある。一方、事業部や部門の判断を重視する分権的な統治を行う会社もある。集権的な企業は業績の山谷が大きくなる傾向がある。経営トップの判断次第で大成功か大失敗かである。分権的な企業は業績の山谷が小さい。現場に近いところでの判断に任せると大成功はしないが大失敗もしない。環境が流動的な状況にあっては分権的な企業のほうが生き残る可能性が高い。
 同じことは国の統治にもあてはまるだろう。国と自治体の関係、政治家と官僚の関係、政党間の関係などいずれも権力が分散していたほうが生き残りの可能性は高いと思われる。12月16日の総選挙では多くの政党が乱立している。複数政党間に権力が分散するのか、権力がひつの政党に集中するのか今のところ見通せない。だがその結果によって日本が生き残れる可能性が左右されそうな気がする。

2012/11/24 食欲の源泉はどこに
 11月16日に衆議院が解散し、選挙モードに突入した。各党の政策は大同小異である。差異があるのは原発とTPPに関してだろうか。その中で自民党の経済政策は異彩を放っている。紙幣を大量発行するという。だが金融緩和とバラマキ公共投資は前の自民党政権、今の民主党政権を通じてずっとやってきたことではないのか。
 今の経済停滞は金融の問題ではない。実体経済の問題である。今ある商品やサービスに魅力を感じないこと、将来への不安があることがお金を使わない原因だろう。他人や社会への不信が根底にある。他人が提供する高額商品を信頼できない、政治を信頼できないから不安になる。こうした心理を払拭しないかぎり、発行した紙幣はマネーゲームに流れるだけである。
 食欲はあるがお金のない人にお金を渡せば食事に行くだろう。だが食欲のない人に「これで食事しろ」とお金を渡しても役に立たない。もっと美味しい料理を提供するか、食欲減退に陥っている病気や不安を解消しないかぎりお金はムダである。今のボトルネックはお金にあるのか食欲にあるのか。ここを見極められないと経済政策は的外れになるだけでなく副作用が大きくなる。

  2012/11/10 MRJ初飛行まであと1年
 国産初の小型ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の受注が好調である。今年7月に米スカイウェストと100機を契約し、全体で受注は230機に達したという。10月には受注目標を1000機から1500機に引き上げたとの発表もあった。
 受注好調の理由は燃費性能にある。機体を軽量化したこととプラット・アンド・ホイットニー社製の新型エンジンを採用したことで燃費に優れる。燃費は良いが遅くて騒音が大きいプロペラ機と同等の燃費とされる。
 課題は開発時期である。現在までに開発計画が2回延長された。現在では初飛行が2013年度第3四半期、量産初号機納入が2015年度半ば〜後半とされている。初飛行まであと1年である。航空機業界では「機体とエンジンの両方が新設計だと計画どおりに進まない」というジンクスがあるという。これにあてはまるボーイング787は2007年9月初飛行、2008年5月納入の当初計画に対し、実際は2009年12月初飛行、2011年9月納入と大幅に遅れた。
 MRJはYS-11以来の本格的な国産旅客機である。開発が順調に進み、YS-11のように長く使われる航空機になることを期待したい。ちなみに1964年に発出荷されたYS-11は48年後の現在もまだ現役である。国内の旅客機はなくなったが、海外の一部と日本の自衛隊では使用中である。神奈川県西部にある私の家の近くでは、厚木基地所属と思われるYS-11をたまに見かける。

2012/10/27 海水温変化その2
 9月29日の本欄で日本近海の海水温の上昇について書いた。これに関しては気象庁から「海面水温の長期変化傾向」が発表されていることがわかった。それによると「日本近海における、2011年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+0.61〜+1.73℃/100年です。 これらの上昇率は、世界全体で平均した海面水温の上昇率(+0.51℃/100年)よりも大きな値です。」とされている。
 一番変化が大きいのは東北地方に面する日本海であり、+1.73℃/100年となっている。日本海側では海水温があがって気温が下がると大雪になりやすいとされている。この傾向が続くと東北の日本海側は「夏暑く冬大雪」という傾向が強まることになる。
 私の住んでいる神奈川県では、相模湾でのキハダマグロの回遊変化が話題となっている。2008年から体重20〜30kg台の2〜3歳魚が見られるようになったという。2012年には体重40kgを超える4歳魚も出現した。もっともこれは海水温上昇だけでなく、神奈川県が設置したパヤオ(浮き漁礁)の効果だという説もある。地球温暖化で気になるのは気温変化である。だが島国の日本では海水温変化が生活や産業へ与える影響も考えておく必要がありそうだ。

2012/10/13 ノーベル賞と実生活
 10月8日、京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞を受賞することが発表された。あらゆる細胞に分化する能力があるiPS細胞を開発した功績によるものである。受賞は非常に喜ばしいことだが、一般人への生活・経済へはどう影響するのか気になった。
 先端の科学技術が一般の生活に影響を及ぼすには時間がかかる。ノーベル賞級の科学技術の場合、どの程度の時間差があるのだろうか。日本人のノーベル賞受賞者の業績をあらためて眺めてみた。物理学賞の受賞者は1948年の湯川秀樹氏をはじめとして6人。化学賞は7人。医学生理学賞は山中氏で2人目である。
 業績といっても私には理解しにくいものが並んでいるが、物理学賞が数10年といった期間で実生活に影響しそうなものは少ない。江崎玲於奈氏のトンネル効果ぐらいだろうか。それに比べて化学賞と医学生理学賞は比較的短期間で実生活に影響しそうなものが並んでいる。特に遺伝子や分子生物学関連のものは展開が急である。実生活へのインパクトも大きい。10年程度の時間差で産業界への影響を考えておく必要がありそうだ。

2012/9/29 海水温変化
 今秋の北海道ではサケが不漁で代わりにサバが豊漁だという。サケ定置網にはマンボウやジンベイザメなどの南方系の魚がかかっている。北海道の海面水温が平年より数度高いためと考えられている。
 今年は沖縄に上陸する台風も強力である。もともと台風が多い沖縄であるが今年は上陸あるいは接近時の気圧が低く、風速が強いものが多い。今年はすでに以下のような台風が沖縄に接近あるいは上陸している。
  3号(6月)沖縄本島接近時 960hPa
  4号(6月)沖縄本島接近時 960hPa
  7号(7月)沖縄本島接近時 990hPa
  9号(7月)先島諸島接近時 960hPa
  11号(8月)沖縄本島接近時 970hPa
  15号(8月)沖縄本島上陸時 920hPa
  16号(9月)沖縄本島上陸時 920hPa
  17号(9月)沖縄本島上陸時 930hPa
 台風も海水温が影響しているが、海水温は当然気温にも影響する。農林漁業だけでなく、観光や日常生活へも波及する。地球温暖化の影響で海水温の上昇傾向は今後も続くのだろう。海水温の上昇とともに産業やライフスタイルが変化する可能性がある。沖縄、台湾、フィリピンといった亜熱帯の島に学ぶ必要があるかもしれない。

2012/9/16 エネルギー政策の行方
 9月14日に政府は、2030年代に原発ゼロを目指す新エネルギー政策を正式に決定した。原発ゼロを望む国民の声が大きいことを反映した形である。だが総選挙へ向けての人気取り政策との批判もある。また「30年代」「目指す」という表現は逃げ道の多いものとなっている。さらに原発稼働を前提とした核燃料サイクルは当面維持するなど矛盾を含んでいる。
 反対論も多い。産業界を中心に電気料金の値上げや石油等の輸入価格への牽制力低下など、主に経済面での影響が指摘されている。これらへの対策が検討不足との声もある。しかし目標を掲げなければ対策は出てこない。対策はこれから検討すればよいのではないか。
 反対論にも我田引水といったものが目立つ。電気料金が2倍になるとの試算があるようだが条件が不明である。現在原発のない沖縄電力の価格は確かに高い。だが2倍ではない。石油等の輸入価格への牽制力は確かに低下するかもしれない。だが石油等の国際価格決定のメカニズムの中で日本の原子力の影響はどれほどのものか不明である。そもそも原発の燃料であるウランも輸入だが石油よりも輸出国が限られている。平成21年の電力の市場規模は約16兆円だが、ガソリン、軽油、重油などの市場規模はこれに匹敵する。産業界への影響から言えば電力値上げの前にガゾリン税を議論すべきであろう。
 短期的な経済性では原発を動かしたほうがよい。そういうシステムを作ってきたからだ。しかし産業界にとって長期的に重要なのは、電力自由化が加速されるかどうかである。原発比率が高いままでは電力自由化が進まない。これは長期的には競争力低下要因である。自由化が日本の競争力を高めるのは鉄道・通信・郵便で経験してきたことである。ぜひ時間軸を想定した議論を望みたい。

2012/9/1 時間軸喪失の危険
 将来の原発依存度に関する議論が続いている。討論会やアンケートでは原発ゼロへの支持が多い。インターネットでのアンケートでは「即時廃止」が圧倒的だったようだ。一方、原発ゼロに反対する意見も当然ある。経団連は、原発ゼロになると失業者が200万人も増えると警告している。これも「即時廃止」を想定したものだろうか。
 だが、現実には「即時廃止」はできないだろう。民意を反映するための総選挙の時期は不透明である。さらに原発が次の選挙の争点になるのかも不透明である。現実を無視した「即時廃止」ではなく、時間軸を加味した議論が必要である。例えば即時廃止ではなく2030年にゼロにするなら200万人の失業者は大きな問題ではない。2030年までには18年ある。日本の労働人口は毎年30〜40万人程度減少している。18年かけて原発関係者が200万人減るなら自然減の範囲で吸収できる。18年間には新エネルギー関連の労働需要も当然出てくる。
 時間軸を想定しない議論は危険である。その場の雰囲気や今の利益を優先した議論の先にあるのは、物事を簡単に白黒つけてくれる独裁者や1党支配への期待ではないか。それが何よりも怖い。

2012/8/18 世界の電力品質
 ロンドンオリンピックは閉幕したが甲子園の高校野球が始まった。今月の私はテレビを見る時間が増えている。残暑も厳しい。電力需給が気になるところだが東京電力エリアでは特に問題がなさそうである。騒いでいた関西電力エリアも大飯原子力発電所3号機の再稼働したためか需給逼迫の話は聞こえてこない。
 電力の需給や価格上昇を気にして海外拠点への移転を目指す製造業があると聞く。しかし海外には電力品質に問題がある国も多い。電力関連機器を製造し、世界へ輸出している中小企業の経営者に聞いた話だが、電力品質の悪さにはいくつかのパターンがあるらしい。第一は、台風や雷で送配電網がやられて局地的に停電するパターンである。第二は、需給バランスの制御が悪く電圧や周波数が大きく変動するパターン。第三は、供給力が絶対的に不足し大停電に至るパターンである。
 日本で発生するのは今のところ第一パターンだけである。第一のパターンは台湾やフィリピンなど亜熱帯から熱帯の島国で多くなる。第二のパターンはアジアや中東ではよくあるそうだ。国によっては全部のパターンが起こりうる。海外拠点における電力は価格メリットと品質デメリットの両面を評価する必要がある。

2012/8/5 2位と3位の心理
 7月27日にロンドンオリンピックが開幕して1週間あまりが経過した。日本のメダル獲得数は8月4日終了時点で金2個、銀10個、銅12個である。メダル数は多いが金が少ない。ちなみに第1回近代オリンピックでは2位までしかメダルはもらえなかったらしい。第2回からは3位までメダルが出るようになり、その後3位までメダルというルールが決まったそうである。この3位までというのが人間の心理にマッチしている。2位までだと物足りなく4位まででは間延びする。日本でも昔から三役、御三家といったように三人を特別視する文化がある。
 1位から3位はメダルの色が違うだけでなく心理的な影響も違う。1位を取れれば嬉しい。だが同時に慢心の出発点にもなりうる。2位は「惜しい」「残念」という感情が強いが、「今度こそ」という闘争心の源になる。3位は「よくやった」という感情になることが多いが「4位以下に転落」という恐怖と隣り合わせである。
 後半の競技で金メダルを期待したいが、2位3位でも悪くない。「まだ上がある」という発展途上の期待感は、現代日本に貴重な感情ではないか。

2012/7/22 島国の独自性が世界に受け入れられるには
 7月8日にテニスのウィンブルドン選手権が終わった。7月22日は全英オープンゴルフの最終日である。そして7月27日はロンドンオリンピックの開会式がある。今月は英国でのスポーツイベントが集中している。言うまでもなくテニス、ゴルフ、サッカー、ラグビーなど英国発祥のスポーツは多い。
 サッカーなどのスポーツはもともと島国の英国でローカルに発達した遊びだったはずである。それがなぜ世界的に広まったのか。大英帝国時代に植民地を通して広がったということはあるだろう。だが旧植民地以外でもサッカーやテニスに魅了されている国は多い。島国で独自進化した球技がガラパゴス化しなかったのはなぜか。
 それはシンプルさにあるのではないか。サッカーやテニスはルールがシンプルである。これが独自性を持ちながら普遍化した理由であろう。だからルールが複雑なラグビーやクリケットはあまり普及していない。島国は独自性を育てるには良い環境である。しかし独自性が世界に受け入れられるにはシンプルさが必要であろう。複雑な方向へ進化したものはガラパゴス化する。日本のワビサビは世界で受け入れられる要素ではないか。

2012/7/8 原発再稼働の先にあるもの
 7月5日、福井県おおい町にある関西電力の大飯原子力発電所3号機が発電と送電を再開した。昨年3月の東京電力福島第1原発事故後、定期検査で停止した国内の原発の発電開始は初めてである。最後に停止した北海道電力泊原発3号機(5月5日)から数えて原発ゼロ生活は2ヶ月で終了となった。
 短期的な経済への影響を回避したいという考え方はわかる。だが依然として長期的に原発をどうするのかエネルギーをどうしたいのかという政府の考えはまとまっていない。エネルギー確保が必要と言うが、電力に限って言えば長期的には需要縮小となる可能性が大きい。東京電力エリアを例にすると過去の最大需要は平成13年7月24日に記録した6,430万kwである。これは11年前の記録である。年々節電が進んできたのだ。昨年大震災以後の最大需要は平成24年1月20日の4,966万kwであり、平成13年のピークから23%の節減を果たしている。
 さらに現在は人口縮小局面に入っている。人口減とともに電力需要も減ると考えるのが自然である。経済産業省の総合資源エネルギー調査会では2020年の原発比率0〜35%の5案を検討したそうだ。さすがに35%案は捨てたようだが、検討の前提には電力需要の縮小は織り込まれているのだろうか。長期的視野での検討が望まれる。

2012/6/17 原発再稼働
 6月16日、政府は福井県にある関西電力大飯原発3・4号機の再稼働を決定した。7月初旬には運転再開となる見通しである。5月6日からはじまった日本の原発ゼロ生活は2ヶ月で終わる。
 再稼働は決定したが、わからないことはいくつも残っている。そもそもストレステストでどの程度のストレスを想定したのか。その結果を経済産業省原子力安全・保安院、内閣府原子力安全委員会が妥当と判断したのだが、何が妥当だったのか。こうした点についてマスコミの報道はほとんどない。
 いちばんわからないのは長期的なエネルギー政策や原発政策である。原発を減らそうとしているのかもわからない。すべては現在志向バイアスつまり目先の利益に惑わされている結果であろう。だが短期志向のつけは長期的に現れる。薪を使いすぎたために広がった砂漠、石炭を燃やしたために発生した大気汚染、石油を使いすぎて増加した二酸化炭素濃度など、未来へのつけ回しがまた繰り返されるのだろう。

2012/6/9 攻撃力をアップするには
 2014年サッカーワールドカップに向けてのアジア最終予選がはじまった。6月3日のオマーン戦は3-0、6月8日のヨルダン戦は6-0とそれぞれ完勝した。現在の代表チームは安心して見ていられる。1998年のワールドカップフランス大会の本戦に初出場したころやそれ以前の試合は、見ているだけで緊張の連続だった。何しろ攻撃力がなかった。
 この10数年の間に何が変わったのか。集団で守り、パスをつなぎながら攻めるというスタイルは基本的に変わっていない。だが決定力は格段に上がった。ゴールに対する意識と技術は格段の差である。シュートの本数とゴール枠内に飛ぶ確率が上がっている。背景には海外のクラブチームでプレーする選手が増えたこと、選手層が厚くなったことがあるだろう。
 日本代表チームの攻撃力は日本の産業にも参考になりそうだ。例えば日本の製造業では、守備つまりコストダウンは得意だった。だが攻撃力つまり高く売ることについては二流だった。フェラーリほどの攻撃力はトヨタにはない。今、日本の自動車の中では日産が比較的好調なのはヨーロッパ流の攻撃力、つまり商品の魅力を上げるやり方を身につけてきているからではないか。顧客という枠を意識して魅力的なタマを蹴る。ゴールへの意識が日本産業にも重要であろう。

2012/5/27 現在志向バイアスの国
 人間は目先の利益に惑わされる。行動経済学では「現在志向バイアス」と呼ばれる。将来の健康よりも目先の満足感を求めてタバコを喫う。要するに人は問題を先送りする習性があるのだ。
 どこの国、どの時代にもあるのだろうが日本の現在は深刻である。目先の利益を優先して根拠がないまま原発稼働させようとするのは現在志向バイアスだろう。もともと原子炉の廃炉には正常に停止しても30年かかると言われていた。そのコストを電力料金に反映してこなかったもの現在志向バイアスだろう。
 税収の落ち込みが止まらなかったのも現在志向バイアスの影響だろう。だが消費税増税案も税金の使途見直しを先送りしているように思える。
 現在志向バイアスの源泉は動物的な本能である。動物には過去に対する反省も未来への展望もない。現在を生き延びないと未来はないのである。本能に根ざすのだから変えることは難しい。個人ができるのは、問題が先送りされることを前提に将来を予測することだけかもしれない。

2012/5/5 原発ゼロ生活
 北海道電力泊原発3号機は点検のために5月5日に発電を停止する。これで日本の原発50基は全て停止する。42年ぶりに原発ゼロ状態となる。産業界、とくに製造業からは「日本での事業継続は困難」との声が出ている。
 短期的には電力不足の影響は大きい。そこに異論はない。だが長期的には原発ゼロへ向けた取り組みは、新たな産業構造への転換のチャンスである。1970年の米国の大気浄化法の改正(マスキー法)は日本の自動車産業躍進のきっかけになった。今回も長期的にはチャンスとなる可能性は大きい。
 東京電力エリアでは過去の最大需要は平成13年7月24日に記録した6,430万kwである。もう10年以上前の記録である。この10年間、節電が進んできたのだ。昨年大震災以後の最大需要は平成24年1月20日の4,966万kwである。ピーク需要で23%の節減を果たしている。短期的には様々な知恵と工夫が試されている。だがその先にある可能性に期待したい。

2012/4/21 LCCのインパクト
 4月20日、JR6社と航空各社からゴールデンウイーク期間中の予約状況が発表された。JR各社は東日本大震災で大幅に落ち込んだ2011年比41%増、航空各社は国内、国際線とも2割増で「震災以前に戻った」とされている。東北地方への旅行は震災前以上に増えているようである。
 活況を取り戻した交通・旅行業界であるが、長期的に影響がありそうな変化もある。4月14日に開通した新東名高速道路は渋滞緩和の効果が期待されている。航空業界での大きな変化は、4月1日に運航開始したピーチ航空と7月3日に運航開始するジェットスタージャパンである。LCCと呼ばれる低価格航空会社が一定のシェアを獲得するとともに既存航空会社も価格競争に巻き込まれることになるだろう。
 関西空港と成田空港にはピーチ航空とジェットスタージャパンだけでなく、既にスカイマークやジェットスターの国際線、韓国のLCCなども乗り入れている。アジアの一大ハブ空港であるソウル仁川空港を経由してLCCを乗り継いだ海外旅行も増えるのではないか。

  2012/3/24 小説琉球処分
 「小説琉球処分」を読んでいる。大城立裕氏による本著は文庫本で上下2巻のものである。琉球処分は1872年(明治5年)に行われた。日本と清の両方に帰属していた琉球が、本格的に日本の体制下に組み入れられたものである。小説では、明治初期の政治の動きを琉球側から描いている。小説といっても史実に基づいているので、明治初期の琉球の様子がよくわかる。
 琉球処分の時に清や欧米諸国から圧力に対して「国防のため」作られたのが沖縄の基地だった。沖縄の基地問題は米軍からはじまったのではなく、明治政府からはじまっていたのだ。そうした過去の歴史が理解できる同時に、現在の日本の状況について考えさせられた。当時の琉球・日本・清の関係が、現在の日本・米国・中国との関係に照射されるからである。  島国や小国は大国のパワーバランスの間で生きていかなければならない。王国であったハワイも共和制を経て1898年に米国に併合され、真珠湾に海軍基地が設置された。ハワイと米国の関係は、琉球と日本のそれに相似形である。こうした相似関係は現在の日本にもあてはまる。現在の日本は軍事的に米国に依存しながら経済的には米中両方に依存している。これをどうしていくのだろうか、再びの占領や日本処分は避けたいところである。

2012/3/10 原発停止から産業構造転換へ
 東日本大震災から1年が経過した。被災地では行方不明者はまだ多い。津波で失った街の復興やがれき処理も途上である。だが日本全国に関連し影響が拡大しているのは電力問題である。地震で停止した原発だけでなく点検停止した原発も再稼動していない。特に影響が大きいのは原発依存度が高い関西電力である。
 原発再稼動に向けて政府は3月8日に、地元自治体の同意に先立ち国がまず再稼働の是非を判断する方針を明らかにした。だが方針が出されただけで再稼動の見通しはまだ立っていない。
 再稼動しない場合、産業に対する電力不足の影響が懸念されている。だが個人的には再稼動しないほうが長期的には産業界にプラスとなると考えている。省エネや新エネルギー関連の新商品や新産業が加速されるからである。 電力不足で本当に困った状況の中で開発すれば強い商品となるだろう。ドイツなど新エネルギー開発で先行する国に追いつくチャンスである。
 原発停止はエネルギー大量消費型の産業を知財や人財中心の産業に転換する機会でもある。もともと原発がない沖縄は、電力単価は高いが1人あたりの電力消費量は最小である。気候の違いもあるが、省電力の産業構造となっているのではないか。昨年の猛暑でも東日本は努力と我慢で電力不足を乗り切った。さらに工夫すれば我慢を減らしていけると思う。関西でもできるはずである。

2012/2/22 民主主義の行方2
 1月24日から始まった通常国会で平成24年度予算の審議が行われている。この国会は国の財政・政治・民主主義の分水嶺になる可能性があると前回書いた。特に民主主義の行方が気になっている。
 民主主義といっても日本のそれは民主化運動によって獲得されたものではない。大戦後にGHQが作った憲法によって「ほらこれが民主主義だぞ」と示されてやったものである。国民ひとりひとりが主体的に判断して政策を選んでいくという本来の民主主義には未だなっていない。実態は、マスコミなどが作った雰囲気で決まる人気投票である。「みんなが投票する所に私も乗っかる」というものである。AKB総選挙と同じ構造である。いやセンターポジションを直接投票できるAKB総選挙のほうがかなりましである。
 これが続くのか、あるいは大戦前の少数エリートによる支配に戻るのか、はたまた国民ひとりひとりが主体的に判断する真の民主主義へ進むきっかけになるのだろうか。

2012/2/12 民主主義の行方
 1月24日から通常国会が始まった。2月3日には衆議院本会議で平成23年度第4次補正予算案が可決され参議院に送られた。続いて平成24年度予算の審議が2月9日にはじまった。この国会は国の財政・政治・民主主義の分水嶺になる可能性がある。消費税増税ができるのか、増税だけで財政は回復できるのか、消費税増税を軸に政界再編はあるのか、それらに民意は反映されるのか、といった点が今国会には含まれている。
 私が特に注目しているのが民意がどう反映されるかという点である。マニュフェスト違反とされる民主党だが新たなマニュフェストを問う解散・総選挙はまだなさそうである。選挙で選ばれた議員が離党し新党に参加しても、選挙がなければその是非を有権者から伝えることができない。選挙に代わる監視機能であるマスコミは、民意を反映しているのか疑問である。こうした状況が民主主義崩壊につながるのか、あるいは民主主義の新たなスタイルのはじまりにつながるのかが気になる。

2012/1/31 納期遅れ依存症
 私は納期の改善をメインテーマに企業の支援をしてきた。納期遅れといってもその原因は様々である。だが3種類に大別できる。満員型/鈍行型/寝坊型である。満員型はキャパシティオーバーのために遅れが拡大してくものである。鈍行型は工期が長く、早く着手しても遅れるものである。寝坊型は遅れるはずがないのに慢性的に遅れるものである。
 この中で一番解決が難しいのが寝坊型である。技術的な問題ではなく心理的な問題である。遅刻常習犯の学生のようなものだ。なかなか対策が効果を上げない。どうも寝坊型に対する理解が間違っていたようなのである。
 寝坊型の原因は「遅れても許される」という単なる甘えだけではないようだ。「遅れたほうが効率がよい」「遅れたほうが大物に見える」「遅れると安心できる」という心理があるようなのだ。これは薬物依存症の心理と似ている。依存症治療の方法論が必要ではないかと思っている。
 怖いのは寝坊型が発生するのが学校や会社の仕事だけではないことである。政治の世界でも重要課題の先送りが横行している。先送りすることへの依存症はどこにでもある。

2012/1/15 小笠原化の勧め
 2011年の正月に「タヒチ化の勧め」というコラムを書いた。今年は「小笠原化」を提唱したい。小笠原化とは「独自進化した商品で世界から注目される」ということである。実は「タヒチ化」と同じである。小笠原の世界遺産登録にあやかって呼び方を変えただけだ。独自進化した商品はガラパゴス化と呼ばれている。ガラパゴス化と小笠原化の違いは「島に閉じこもる」か「世界から注目される」かの違いである。
 先日テレビで「世界一所得水準が高いのはスイス」という内容の番組があった。比較の方法によってはスイスが一番ではないかもしれない。だが少なくとも日本よりは高いようだ。スイスは精密機器・医薬品・金融が経済を支えているという。スイスは小国であるがゆえにマス市場を狙わず、富裕層を対象とした独自路線を歩んでいる。高級機械式時計がその代表であろう。
 人口が減っていく局面では、タヒチ、小笠原、スイスなどの島や小国の生き方が参考になるはずである。文化の独自性はクールジャパンと呼ばれ注目度は高い。被爆と被曝の経験をもとに開発する新エネルギーの分野でも独自性が発揮できる可能性は高い。人まねをやめて独自性を追求するところに活路はあると思う。

2012/1/2 民主主義の崩壊のはじまり
 2011年の最後に消費税増税のニュースが話題になった。12月30日、政府は消費税率を平成26年4月に8%、27年10月に10%と2段階で引き上げることを柱とした一体改革大綱素案を決定した。一部マスコミはこれで決定かのように報道しているが、まだ素案である。
 私が心配なのは内容よりも、どうやって国民の合意を得るのかという議論がされていないことである。民主党は政権をたらい回しにしてきた。またマニュフェストをなし崩しにしてきた。自民党と同じなのだが、そこには国民の意見が反映されていない。企業の財政が破綻しそうな場合、収入を上げるのには時間がかかるので、支出を抑えるのが先である。また株主総会を経ずに役員を交代できる株式会社はない。こうした民間の常識は政府や官僚には通用しないのか。
 マスコミが世論を操作しようとしているのも気になる。12月19日の某新聞トップ記事は、「イタリアの公立小学校では、財政危機で予算が削られトイレットペーパーも買えない」という内容だった。だが日本の公立小学校は市町村立である。地方交付税の影響はあるが日本の小学校のトイレットペーパーは国家予算で買っているのではない。
 国家財政の破綻よりも、民意が反映されない政治やマスコミの世論操作のほうが大きな問題と思う。民主主義の崩壊はもうはじまっているように思う。今年はそれがどう進展していくかを見極めたい。

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